大用寺十六羅漢
大用寺(天徳山、曹洞宗)の十六羅漢は、初め奥山神の別当奥神宮寺(真言宗 宝生山知照院)に建立されていたもので、寛政9年(1797年)5月9日建立と「続銀山旧記」にある。
生野史の補記に次の記述がある。
『拾六羅漢、禅宗祖先と申僧建立、町方修行に而出来す。右之僧少々差支出来致し候故、神宮寺へ納す。寛政九丁巳年(1797)。年々六月廿一日祭り致し候(御公儀御普請所之事)』
十六羅漢は、明治25年(1892年)に大用寺に遷された。この年の4月には奥山神社が、社宇の大破を機として現在の地、口銀谷の愛宕に遷宮し、それにともなって奥神宮寺も廃寺となっている。
大用寺の羅漢像は18体あり、十八羅漢といえる(写真は19体あるが、1体は仏陀。)。
一般に十六羅漢に数えられる尊者は(読みは広辞苑に準拠、順序は写真と一致しない。)
- 賓度羅跋ら(口偏に羅)惰闍(びんどらばらだじゃ)−賓頭盧(びんづる)尊者、獅子吼第一
- 迦諾迦伐蹉(かにやかばつさ)
- 迦諾迦跋釐堕闍(かにやかばつりだじゃ)
- 蘇頻陀(そひんだ)
- 諾距羅(なくら)
- 跋陀羅(ばつだら)
- 迦哩迦(かりか)
- 伐闍羅弗多羅(ばじゃらほつたら)
- 戎博迦(じゅめはくか)
- 半託迦(はんたか)−摩訶槃特のこと
- ら(口偏に羅)怙羅(らこら)−釈尊の実子、密行第一
- 那伽犀那(なかさいな)
- 因掲陀(いんかだ)
- 伐那婆斯(ばなばし)
- 阿氏多(あした)−弥勒菩薩と同一視される
- 注荼半諾迦(ちゅうだはんたか)−周利槃特のこと
十八羅漢は、上記の十六羅漢に大迦葉(だいかしょう)尊者(摩訶迦葉、摩訶迦葉波、迦葉、迦葉波とも呼ばれ、頭陀第一と称される。)と軍徒鉢歎(ぐんとはつたん)尊者を加える。
或は、賓度羅跋ら惰闍尊者を別の羅漢に置き換え、賓度羅跋ら惰闍尊者と慶友尊者を合わせ十八羅漢とすることもある。このとき加えられる羅漢は、多聞第一と称せられる阿難陀(あーなんだ)尊者であろうか(阿難陀も十六羅漢の一とされている。)。
天徳山大用寺:兵庫県朝来市生野町新町1198番地、曹洞宗
(文責 K.kitami)
参考文献:校補生野史/広辞苑